アド・アストラ 〜 スキピオとハンニバル ブックレビュー


はじめに

歴史に関する書籍を読むことが好きで、そのルーツは小学生の頃に新刊で購入していた「小学館 マンガ日本の歴史」まで溯ることが出来る。1981年に発行開始されて以来、現在も書店で販売されているシリーズで、当時は1カ月おきに新刊が発売されることを心待ちにしていたことを思い出す。以来、歴史関連のマンガを継続的に読むようになっている。

歴史マンガの良い点は、第1に分かり易いこと、第2に教科書的史観に縛られていないことであると思っているが、最近も面白いと思う本が結構出てきているので、本ブログで紹介してゆきたい。個人的な好みがかなり反映される記事になってしまいそうだが、お許し頂きたい。

 

アド・アストラ 〜 スキピオとハンニバル

本作品は古代ローマ時代に実際に起きた第二次ポエニ戦争を舞台にした作品である。当時ヨーロッパの覇権争いをしていたローマ共和国とカルタゴという国の争いを描いている。

描かれている時代ではすでに趨勢が決まっていてローマ共和国がほぼヨーロッパを手中に収める段階まで来ているのだが、それに対する最後の抵抗を行ったのがカルタゴの将軍ハンニバル・バルカである。

ハンニバルは戦争の天才であり、当時として斬新な戦術を駆使してローマのほとんどの都市を攻略したが、最終的にはローマ側のもう1人の戦争の天才であるスキピオ・アフリカヌスに敗れることになる、というのが大まかな筋書きである。

この時代の歴史はさまざまな要素が絡み合っていて面白い。

貿易立国であるカルタゴと覇権国家であるローマという対照的な国同士だが、なぜ争う必要があったのか。両国共に議会を持つ民主的な国であったが、さまざまな利害関係により戦争に向かってゆく様子は現代に通じる部分を感じる。

登場するキャラクター達も魅力的である。

僕はハンニバルバルカ・スキピオアフリカヌスどちらも好きであるが、興味深いのはハンニバルの方である。

カルタゴは貿易国だったがゆえに軍は傭兵中心だったが、ハンニバルはその人柄から求心力があったという。そうでなければ冬の山脈を超えるといった無理な命令は下せないのではないか。一方ではローマ側からは非常に怖れられている存在であり、2面性を感じる部分がある。

実際にローマ都市を攻略し続けているが、最終的なゴールを見出せないような行動を取っていて、どのような胸中だったのだろうか。

ハンニバルがで陰とスキピオは陽といえるが、陰のほうが分析対象として興味深い。友人としたいのは後者のスキピオであるに違いにない。

本作品アド・アストラでは2人を中心に、当時の歴史的な状況を背景に物語が進んでゆく。

お薦めの1冊。

アド・アストラ -スキピオとハンニバル- コミック 1-13巻セット

 

まとめ

ここまでお読み頂き、ありがとうございます。本記事ではアド・アストラ 〜 スキピオとハンニバル ブックレビューをお届けしました。

当ブログへのまたのお越しをお待ちしております。

 

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投稿者プロフィール

菊地登志雄
菊地登志雄
1971年11月生まれ。O型。埼玉県生まれ、東京都文京区在住。趣味は旅・食べること。