WEB と地方で広がるデジタル出版の可能性 ~ page2019カンファレンス登壇レポート

 

2月8日に行われた印刷業界イベント「page2019」カンファレンスで登壇させて頂きました。

本記事はそのレポートになります。

ここでいう「デジタル出版」について、おもに「個人が発信する文学作品」という位置付けになっています。

 

現状分析

 

出版不況と言われて久しい状況下、デジタル自費出版分野は堅調に発行数を伸ばしている分野である。

 

比較すると、映像分野でいう所の「地上波放送とYouTubeなどの動画コンテンツの関係」に似ているのかも知れない。

 

(低下) 地上波放送  ⇔  (伸長) 動画コンテンツ(YouTubeなど)

(低下) 商業出版物  ⇔  (伸長) デジタル出版(自費出版文学など)

 

印刷会社の立場から。

 

私が運営している自費出版印刷サービスも、この流れに沿った形で発行数を伸ばす形になっている。

 

逆に商業出版印刷については、部数を減らしたり電子化されたりという流れが続いているのが現状である。

 

 

 

成長しているデジタル出版の特長

 

私は同人誌印刷や自費出版分野のマーケットに接している仕事をしている。

 

普段考えているデジタル出版が持つ新しい特長は、

「個人による発信」「コミュニティ形成」「ライブ重視」の3つであると考えている。

そしてこの3つの特長は「デジタル」「非デジタル」分野に分かれている。

 

「個人による発信」:投稿サイト・ブログ(デジタル)・紙による出版(非デジタル)

「コミュニティ形成」:SNS・サービス内コミュニティ(デジタル)・対面(非デジタル)

「ライブ重視」:読者とのコミュニケーションによるライブ感のあるコンテンツ制作・販売イベント開催、体験型イベント開催(非デジタル)

 

出版のあり方はデジタル化の影響を大きく受けており、制作者・方法から認知・販売までそれぞれのプロセスが従来と大きく変化しているといえる。

 

参考リンク:

エブリスタ(小説投稿サイト)

 

 

大都市圏でない地域での広がり

 

大都市圏でない地域での広がりも大切な要素だと考える。

インターネットにより距離に囚われずに情報発信が出来るようになっている。

文学フリマのように国内100都市でイベントを展開するような動きも出てきている。

 

参考リンク:

文学フリマ百都市構想

 

 

印刷会社として今後の方向性

 

 

印刷会社である我々の立場からとるべき方向性は、この変化を捕らえてゆくことにある。

 

現状存在する方向性の1つには「極小ロット製作」が上げられる。

 

デジタル化に伴いコンテンツがロングテール化している影響で、1部から印刷製本を行うニーズは高まっていると考えられる。

 

極小ロット製作については技術面・コスト面でのハードルがまだ高いが、今後可能になっていくと思われる。

 

もう1つの方向性として、印刷製本の上流・下流に進出することが上げられる。

 

デジタル化によって変化した流れを取り込んでいくことによって、印刷製本制作を最大化させることが出来るかもしれない。

 

 

 

まとめ

 

page2019カンファレンスで登壇させて頂いた内容を記事にまとめました。

 

それぞれ異なる立場でデジタル出版に関わる方々のプレゼンにより、現状と今後の方向性が見えてくる素晴らしい内容だったと感じています。

 

お世話になりました日本印刷技術協会(JAGAT)の皆様、登壇者の皆様、カンファレンスにご参加頂いた皆様に感謝を申し上げます。

 

有り難うございました。

 

 

 

 

投稿者プロフィール

菊地登志雄
菊地登志雄
1971年11月生まれ。O型。埼玉県生まれ、東京都文京区在住。趣味は旅・食べること。